第6巻は比較的アクションが少なめの巻でしたが、
恵と源造の関係に少しづつ変化が見て取れる巻でもあり、
そんな6巻の名場面は源造がエレベーターに閉じ込められた
恵を助けに来たシーンです。
藤木の「神様は不公平じゃない」と迷いましたが、
恵の心理描写を上手く描いたシーンが勝っていたと思います。
このシーンは、源造をやり過ごそうとエレベーターに乗ったところ、
事故か小悪魔の呪いか、サラリーマン達とエレベーター内に
閉じ込められることに。
そのサラリーマン達にセクハラまがいの言葉を浴びせられながらも
凛とした態度でいる恵でしたが、色んな意味で息苦しさを感じていた時に、
源造がエレベーターのロープをつたって登ってきたシーンです。
源造は誰にも声をかけずに登って来た為、
はたから見ると「ただ閉じ込められに来ただけ」で、
源造は何も役に立たなかったと落ち込みますが、
恵は自分が源造が助けに来てくれたことに
「安心」している自分に気付きます。
そして、今にも手が触れそうな距離感で、
2人の関係性が近くなったこのシーンこそ、
6巻の名場面と言えるでしょう。
また、このシーンの後に、
「この場合は誰が来ても安心するはず」だと美木に説明され、
自分が源造に対して感じた「安心」に深い意味は無かったと
恵は自分に言い聞かせますが、美木は気づいていたのです。
そうした状況が実際に起きた場合、
躊躇なく助けに行けるのは源造だけだということを。
1巻から通して言えることは、
恵が自分の力だけじゃどうにもならない時、
いつも「源造が助けに来る」ということです。
恵は確かに男顔負けの強さを持ってますが、
どうしても肉体的に不利な状況が出てきてしまい、
今回も恵は心の中で、誰かに助けを呼びたかったはずです。
誰かに助けを呼ぶなど、それまでの恵では考えられなかったことが、
源造達、めぐ団が出来てからは出来るようになって来たのも
大きな心境の変化と言えるでしょう。