7巻の見所はいじめられている少年を通して、
「男の中の男の定義」を恵と源造が意見をぶつけ合う場面です。
名場面はそのいじめられていた少年が、
恵を心配させないよう、転んだと嘘をついてまで恵を守ったこと、
自分を意気地なしとバカにしてた源造の良さに気づいたことに対し、
恵が嬉しくなってつい少年に語ってしまったシーンです。
一君、
君はきっと男の中の男になれるよ。
お姉チャンが保証する。
これは、単に少年が身を呈してまで恵を守っただけでなく、
(恵だけが理解していたと思っていた)源造のやさしさにも
ちゃんと気付けていると分かったからこそ、
つい少年に語ってしまったこのシーンこそ7巻の名場面と言えます。
で、この話の最初の方で
恵と源造がそれぞれ「男の中の男」をどう定義しているかですが
まず恵
優しいって、強くなきゃできない事だと思うよ。
めぐ団も少年も同調しかけますが、
源造だけが反論します。
違うぜ・・・
男がテメーの優しさ、
自信にしちゃ終ェなんだよ。
恵の言うことも源造の言う事もそれぞれ正しいのですが、
「やさしさ」の出処が恵と源造で根本的に違うことがわかります。
恵の場合は、例え自分が弱くても(弱いからこそ?)
誰かを守ったりできる人間は強い=やさしいという意味に対し、
源造の場合、弱かったら大事な人を守れない=やさしいだけじゃ守れない
という意味に理解できます。
恵の言っている内容も至極まっとうですが、
最終的に大事な人を守れるかどうかで言うと、
源造の方が正しいのです。
実はこれと似たようなセリフが同じ西森作品の
「お茶にごす。」でデビルまーくんが語るシーンにも登場します。
男はな、強くなければ
優しくなれないんだ。
これこそが、源造の言いたかったことなのでしょう。
結局いくら綺麗事を並べても、
強くなければ大事な人を助けられない・守れないから
男が「やさしさ」を自信にしたら終わり、
という意味だったのです。
とは言え、そんな事を言ってた源造もいじめられていた少年を
(恵が助けると、必死になって恵を守ろうとした少年がバカになるから)
それまで面倒みていた恵に助けさせず、
関係無いフリして自分が助けに行ったのです。
この源造の行為に対して恵は源造の「やさしさ」を感じ、
それを少年が理解していたからこその名場面なのです。
状況は違うにせよ、この源造の行為と同じようなシーンが
第2巻、源造が自分の周りの人間に手を出さ無いよう
逆お礼参りでボコられていた時に、恵もしていたのです。