15巻はなでしこ杯も大詰めとなり、
いよいよ?小林の仮説で恵の秘密が明らかになりますが、
まずは名場面から。
オマエが
来ると思ってたから、
少しも
怖くなかった。
この場面は名場面でもあり伏線でもあり、
恵の源造に対する信頼(恵は無意識)が
高まって来ている場面でもあります。
まずなぜ伏線なのか、という点につきましては、
その前の源造のセリフである
めぐは男だったら、
俺なんかより
きっと上等な
野郎だったよ。
悪人に一歩も
引かない・・・
ビクともしない。
カッコイーと
さえ、
思っちゃったヨ。
先に【ネタバレ】最終回で恵の魔法が解けた本当の理由を見た人なら
分かると思いますが、源造が初めて恵と出会い、
思った気持ちがここで説明されているのです。
そして、恵の源造に対する信頼ですが、
発端は6巻の名場面である、
小悪魔の呪いにより恵がエレベーターに閉じ込められた時に、
源造が助けに来た時です。
この時をきっかけに、恵が困った時やピンチになった時、
必ず源造が時には身を呈し
(実際は身を呈しなくても良かった時もありますが…)
助けに来ているのです。
そうした経験を経て、ついに恵の中で
自分が困った時やピンチの時に、
源造が助けに来てくれる、という信頼が
この戦いの中で生まれたのです。
美木でもなく、小林でもなく源造というところがポイントです。
伏線
今までの伏線は、どちらかというと
セリフを最終回に向けて回収していく為のヒントが主でしたが、
今回はセリフではなく、「態度」です。
全体を通して、美木がここまで
我を忘れる程キレたのは初めてですが、
その原因を小林は「恵が女を捨てる行動をしたから」
と考えていたようですが、個人的には+αとして
美木にとって恵がそれほどまでに大切な存在であったから
ということに他ならないと思います。
こうして、自分以外の存在に対して
我を忘れる程、または自分の身を呈してまで
助けようとするシーンは西森作品に多数出て来ますが、
多くは「自分の大切な存在」に向けてです。
もちろん、自分も危険な目に合う可能性が高い訳なので
当たり前と言えば当たり前なのですが、
この15巻までに各キャラクターが
キレた理由を思い出してみましょう。
- 源造は主に恵が傷付けられた時
- 恵は大阪で源造がヤクザに拳銃を向けられた時
と、自分の大切な存在が危険な目に合いそうな時、
我を忘れて、いわば「バカ」になるのです。
そして今回、
美木は恵が(初めて)危険な目に合うと感じた時
に「バカ」になったのです。
実はこの後、小林も「バカ」になる瞬間があるのですが、
それはこの巻より先のお話なので、ここでは割愛しますが、
ヒントとして、美木はその時「なんで源造くん入ってんの!?」と
形容しています。
源造=バカというイメージなのでしょう。
そして、何で「バカ」という表現をここで何度も使っているかですが、
源造が自作している「男の中の男の書」で、
「男はバカでなければならない」という項目に対して、
恵も「バカになれなきゃダメだろ」と賛成しているのです。
つまり作者の中では、
「自分に取って大切な人を守る時、
バカになれなきゃ男じゃない」という考えがあるのでしょう。
当然、そのバカとは馬鹿の方ではないですよ。
あと、恵は元から女の子だった、
という仮説を立てた小林でしたが、
流石にここで全ての仮説を正しいと描くには
早過ぎたのか、1点だけ間違っていますが、
その他は当たっていると思います。