天使な小生意気の公式なあらすじとしては、
皆が恐れる最強の不良・蘇我源造は、登校中に出会った同級生の美少女・天使恵に惚れてしまう。恵はケンカがメチャクチャ強くて言葉遣いも乱暴、それにはとても深い理由が…? でも、そんなのお構いナシの源造は、あの手この手で恵に猛アタックを開始! 更に、同じく恵にゾッコンの平凡な同級生・藤木と安田も加わり、争奪戦は早くもデッドヒート!!
となっていますが、表紙の絵から
 天使な小生意気=少女コミックとして
 まだ店頭販売が主流だった時代としては
 手に取るのを敬遠してたサンデー読者もいたことでしょう。
内容紹介だと源造と恵のラブストーリーと思いきや、
 この漫画が伝えたい事は
【男らしさとは?】
 【女らしさとは?】
という事に尽きると思います。
現代のジェンダー論にも一石を投じる作品
世の中には「男だから〜」、「女だから〜」という無意識な偏った認識があり、
 また、身体的な能力差で男女間には越えられない壁があります。
大抵の漫画は特殊能力持ちで無い限り、
 華奢な女性(特に女の子)が屈強な男性に立ち向かい、
 かつ勝利を収めるような漫画は存在しないと
 言ってもいいかと思います。
じゃあ、もしその辺の悪漢を余裕で倒す女の子がいたら?
 逆に強くは無いけど、勇気や信念を持った男がいたら?
天使な小生意気ではそういった偏見を覆すようなキャラクターが多数出てきます。
ですが、超能力やスタンド的な能力、
 またはよくありがちなふわっとした友情パワーで
 なんとなくで倒すのではなく、「勇気」や「信念」を軸に
 物語は進んでいきます。
どれも、令和の時代でも変わらず
 実際に身近にいそうな存在でありながら、
 現実世界では周りの目を気にして出せない
 「本当の自分」を素直にさらけ出しています。
それが今でも愛される、個性的なてんこなキャラクター達を生み出し、
 読者が共感しているのかもしれません。
天使な小生意気にエロ要素は無し
あと、天使な小生意気ではお色気シーンは
 一切出てきません。
これは作者のポリシーなのか
 西森作品のどの作品にもお色気シーンはありません。
その分、表情や仕草で魅力的にみせる事に長けているので、
 てんこな含め、女性人気も高い理由ひとつかもしれません。
少年漫画に取ってお色気シーンは重要でありながら
 それを捨て、純粋に恵の表情や言動・思想で
 ヒロインとして描き切っています。
話は戻りますが、この漫画は
【男らしさとは?】
 【女らしさとは?】
を1巻から20巻(通常版)+外伝2話(ワイド版コミックスやkindle版などに収録)を通して
 様々な状況を通して、描かれています。
詳しくは各巻の名場面ページを見ていただければ分かると思いますが、
 読者である自分が「男」であれ、「女」であれ共感できる部分が多く、
 同じ作者の人気作品「今日から俺は!!」のように、テンポの良い掛け合いや
 笑える要素も多数あり、何より【諦めない勇気】を教えてくれる
 この天使な小生意気を漫画と同じ世代(高1)に出会いたかった作品です。
