【ネタバレ注意!】最終回で恵の魔法が解けた本当の理由

このページでは天使な小生意気最終話で描かれていた気になる点や、
どうして?と思うことを独自に考え結論付けた内容を紹介しています。

その為、まだ「天使な小生意気」を読んでいない方
楽しみが半減してしまうので、これ以上先は読まないでください

最終回で恵が源造にキスした理由

天使な小生意気 20巻 名場面1
天使な小生意気 20巻 名場面1

恵が源造にキスした後、恵にかけられた魔法が解け、
自分が小悪魔に願いをした状況がフラッシュバックし、
恵と美木は全てを思い出しました。

※余談ですが、全西森作品の中で唯一のキスシーンです

これもネットでは
「美木の王子様になる」という願いが叶ったから
という意見が多いですが、私はそうは思いません。

確かに恵は美木の祖父が決めた許嫁と16歳になったら
結婚させられる現実に絶望している美木を助けたい気持ちはありました。

しかし、それならば美木を助け出して岳山編が終了した時点で
魔法が解けてないとおかしい
とは思いませんか?

いや、そこは漫画だからさ、
という意見もあるかもしれませんが、
10巻で小悪魔が恵に元に戻る時は

その時が来れば、
何の苦もなく元にれる。

と説明していた事と一致しません。

つまり、元に戻る為に
何かを成し遂げる必要は無い
、と言えるのです。

では、その答えは?
ですが恵が「俺が美木の王子様になる」と言った前後の言葉に
隠されています。

天使な小生意気 20巻 名場面3
天使な小生意気 20巻 名場面3
天使な小生意気 20巻 名場面4
天使な小生意気 20巻 名場面4

美木のような本当に女の子らしいコが、女の子らしく生きられないなんて許せない。

別に男がエライわけじゃない

そう、これには美木のような(恵自身も含めた)
本当に女の子らしいコが
女の子らしく(自分の意思や信念に従って)
生きられないなんて許せない。
という意味が込められている
のです。

美木を通して、「女に生まれたから不幸」、
何かを諦めて生きなければならない」という現実に対して
恵は憤りや自分の将来に対しても不安を感じていたのでしょう。

その後、美木が誘拐されかけ、
危うくキズだらけになりそうなところを源造に助けられます。

それまで恵の中では、男も女もバカにしている節(※)があり、
特に男に対しては毛嫌いしていて、
(きっと理想とする男とかけ離れた男子しか周りにいなかった
軽蔑というより、落胆していたのでしょう。

※回想シーンで美木が「女のやるモンとかバカにしてちゃだめよ」と言っている
※同級生の女の子をいじめる男子がすぐ泣き、嫌がらせを恵にしたりしている

また、自分はただ信念に従って生きてるだけなのに、
」ということだけで、生意気だの、
色々言われてしまう不公平さや無力感を感じていたのでしょう。

そんな中、自分という存在を初めて肯定してくれた存在が
「美木」
であり、だからこそ恵は美木のことを
何があっても守ろうと決めたのです。

また、源造が自分の命も顧みず恵を救ってくれたことは、
恵にとっては、初めて自分のことを
「女の子」として扱ってくれた男子でもあり、
守ってもくれた男子
だったのです。

それまで自分が「誰かに守られる存在」であるとは
全く思っていなかったであろう恵にとっては
驚いたとの同時に、源造の行動が理解できなかったと思います。

恵にケンカで負け、自分より弱い「男」であった源造が、
「女」である自分の為、自分の命の危険を顧みず身を投げ出して助けたことで、
恵は自分が男をバカにしてたことを恥じ、
「女」でいることの無力さ、「女」だからいつも守られるだけの存在で、
いざという時に誰かを守れる強さを持てないのなら
源造のように誰かを守れる強さを持った「男」になりたい、
今度は自分が「命をかけてでも」源造を助け返したいと願ったはず
です。

そう、恵が小悪魔に「男の中の男にしてくれと」
魔法をかけてもらった時、
心の奥底にあったのは、美木ではなく【源造】だったのです。

なぜ恵は源造にキスしたのか

(まだ魔法で自分が男と思い込んでいた)恵がなぜ
源造にキスしたのか? したいと思ったのかについて考えてみました。

「俺は、オマエが好きだよ。」と言った後に恵はキスをします

同じ好きという言葉でも、2巻で源造たちに言った、
「オマエ 好きだ。」とは重みが全然違いますね。

17巻でも恵は小林や藤木の事を「好き」と言い、
源造の事は「変なやつ(筋金入り)」と呼んで
好きか嫌いか明言していませんでしたが、
意識していたからこそ、明言出来なかったのかもしれませんね。

また、1巻の時から恵は「死んでも(男と)キスだけはしたくない」と
美木に宣言していたのですが、5巻あたりから源造の破天荒さに
徐々に感化されたのか、いつの間にかキス=魔法を解く方法と
誰に言われる訳でも無く信じ込んでいきます。

話は戻りますが、源造は恵を男の中の男を決める勝負に勝った、
恵こそが男の中の男と(おそらく本気で)恵に伝えた後、
恵は源造にキスをします。

この時源造は、自分のせいで恵を傷だらけにしてしまった事を
ひどく後悔しており、恵を無傷で守れなかったことで
自分を男の中の男になる資格が無いとさえ思っていたことでしょう。

さながら恵が昔源造に助けられた時、
源造が傷だらけになってしまったことを謝った時の心境に近いかもしれません。

だからこそ、恵も記憶の片隅(この時点ではまだ記憶は取り戻していない)にあった
自分と重ね、源造を一瞬見つめたようなシーンになったのかもしれませんね。

また、恵としては、岳山編も含め
源造こそが男の中の男」と認め、
それを源造に伝えたかった気持ちもあったのでしょうが、
源造を肯定=女でいることに無力感を感じていた昔の恵を肯定することでもあると思いますが、
重要なヒントはキスをした後の恵の言葉に隠されています

バカ。オマエが泣いてどーす・・・

アア、来ちまった・・・
悪いナ ゲンゾー

この言葉が意図することは、
まずキスをした瞬間とその後も回想シーンが終わるまでは
恵は自分自身を「男に戻る」と認識していたこと
です。

そして、なぜか恵はキスで魔法が解ける(※)ことを
信じて疑わなかったわけですが、大事なのは
キスをしたら男に戻ると確信していながら源造にキスした事】です。

※そもそも普通に考えれば、男になりたいと願って女にされるのは
魔法ではなく「呪い」の類と言えるはず

岳山編の前、小悪魔は近いうちに恵にかけられた魔法が解けてしまうと
恵達に告げます。

その為、恵にとってはいつ男に戻ってしまうか分からない状態でいたということ。当然男に戻ってしまえば、源造にキスはできません

となると、源造にキスをした瞬間の
恵の心情としては

  • まだ自分が女でいるうちに源造にキスしたかった
  • (キスはしつつも)男に戻りたくなかった

であったと推察できます。

そう考えると、キスをした後の恵の言葉

バカ。オマエが泣いてどーす・・・

は少々おかしなことに気がつきます。

もちろん、5巻で源造が恵をデートに誘った時、不良たちに絡まれていた藤木を助けて
待ち合わせ時間に遅れて恵が帰ってしまったと勘違いした時、
ポロポロと涙をこぼした源造に対して、

女の子かオマエは!?
ポロポロ泣くな!

と恵は源造に言い放つのですが、
(男の中の男と認めたのだから、そんな)オマエが泣いてどーする、
と言おうとした可能性もなきにしもあらずですが

恵は源造が自分にどうしようもないくらい惚れてることは知っているので、
当然キスをすれば、源造が嬉しくて泣いてしまう可能性に気づいてたことでしょう。
実際、作中でも何度か嬉し泣きをしているシーンがありますしね。

また、【オマエが】という部分にも引っかかります。
本当は泣きたい人間が他にいるのに、どうしてオマエが泣くんだよ…」という意味に取れませんか。

では、他に泣きたい人間とは?

そう、です。

恵が泣きたかったのに、先に源造に泣かれてしまったので、
「オマエが泣いてどーす(る)」と言いたかったのです。

恵が泣きたかった理由

では、なぜ恵が泣きたかったのか。
それは【男に戻りたくなかったから】です。
女でいる内に自分の意思で源造にキスをしたかった】のです。

男に戻って、源造の事が女として好きだという、
自分の気持ちが無かったことになってしまうのが嫌だった
とも言えます。

その気持ちがその後の言葉

アア、来ちまった・・・
悪いナ ゲンゾー

から読み取れます。

もう男に戻ったら、源造の自分への気持ちには応えられない
源造が本気で好きな女の子(恵)がいなくなってしまう
ことに対して【悪いナ ゲンゾー】と言っていると思いませんか?

作中で源造が男に戻るか女のままでいるか決めてから
再度自分を選んでもらおうとした時があります。

その後、真面目に恵にどちらにするか聞いた後、
恵が躊躇せず男に戻ると答えた時、
源造が「すごく悲しい」「泣くかもしれない」と言った時の記憶
恵の中にはあったことでしょう。

これらの発言の後、恵にかけられた魔法が解けはじめることになることから
魔法が解けるきっかけは、実はキス自体ではなくこの時の恵の心境である可能性が高いのです。

キスをした後に【恵が心の奥底から願ったこと】は、
女のままでいたい】に他なりません。

思えば、恵の人生は美木を守ることに捧げ、
恵自身の生きがいはありませんでした。

作中でも自分の生きがいについて考えるシーンがありましたが、
その時は答えが出ませんでしたが、
恵にとっての「生きがい=心の奥底にある願い」だったのです。

小悪魔は【心の奥底にある願い】を叶える

まだ恵達が嘘の記憶を小悪魔に植えつけられていた時は、
「小悪魔は願いと逆の事を叶える」と信じられていましたが、
その後、小悪魔は【心の奥底にある願い】を叶えることが作中で分かります。

恵が願いをした際、恵は自分が弱い(女だった)から美木を助けられず、
また、自分の軽率な行動で、源造を傷つけてしまったことを後悔し、
性別的な男ではなく、恵が男に対して抱いていた理想の男、
つまり「男(の中の男)にしてくれ」と小悪魔に願いつつも、
心の奥底では美木に言ったように「女の子らしく生きたい」
という気持ちもあった
のです。




もともと、恵の願いは【女の中の女】だった

小悪魔は叶えられる願いは1つと言っています。

恵の本当の願いは【女の中の女】だったのですが、
厳密には2つの願いがあったのではないでしょうか。

その2つを包括する願いが「女の中の女」だったのです。

1つ目は
大切な人を守れる強さ

これは単純に腕力という意味ではなく、
作中で弱いながらも恵を守ろうと終始奮闘した
藤木や安田もいざという時に見せた「男らしさ」です。

昔から漫画やゲームで、弱者を助けるのは
男であり、女性は助けられる側、
または魔法使いや僧侶など、
男をサポートするものとして登場する事がほとんどでした。

その為、いざという時に(負ける、無理と分かっていても)
自分の身を顧みず誰かを助けることを「男らしい」と
世間一般的に定着してしまっているのですが、
このいわば偏った常識に対しても作者は
疑問を投げ掛けたかったのかもしれませんね。

話は戻り、大切な人を守れる強さについては、
美木を岳山から守れたことで果たせたとも考えれますが、
前述のことから、岳山編の最後に昔命をかけて自分を守ってくれた
【源造】を命をかけて助けられたことの方が割合としては大きいような気がします。

もともと恵は大人の男にもひるまず立ち向かっていくという
「強さ」を持っていました。

ですが、現実的に筋力差がある男女間、
ましてや大人相手に食ってかかる様は無謀とも呼べ、
恵のような怯まない&超人的な反射神経を持ってでさえも
一歩間違えれば大事になり兼ねない
その危うい「強さ」故に、源造を傷つけることになってしまい、
自分が「女」だったから助けられなかったと思い込んでしまったのです。

そのままの恵でも成長すれば、
桂子(※)のように強い女性に普通になれたかもしれませんが、
自分が女であることを意識してしまい、
どこかで限界を感じ強くなるとを諦めていたかもしれません。

※個人的に桂子は恵(恵は最後まで諦めない勇気を持ち続けた)との
比喩で登場させたのでは?と思っています。

だから、小悪魔は恵に男であったという意識を植え付けることで、
成長して、何か困難に直面した際も乗り越えられるよう
諦めない勇気」を持ち続けられるようにしたのでしょう。

2つ目は
女の子らしく生きること

言い換えれば、性別問わず
自分の気持ちに素直に生きる事。

1つ目は言わずもがな最終話まで読めば分かりますが、
2つ目の「女の子らしく生きたい」という想いが、
恵の本当の性格
で、作中にも夢見る乙女
という表現で度々出てきていて、
10巻で恵自身も初めて源造とキスしそうになった時、
自分の中に居た、いたいけな少女」と表現しています。

これは単に女の子らしい仕草や格好という訳では無くて、
そもそもこの漫画自体そうした決め付けに対して
疑問を投げ掛ける意図が合ったと思いますが、
わざと女の子らしく振る舞う必要は無いけれど、
心の奥底にある自分の気持ちに素直になり
それを受け入れる大切さを説いているのかもしれません。

また、美木に自分が王子様になって守ってあげると宣言していることも
守ってくれる存在=白馬の王子】で、
当時の恵にもそんな女の子らしい憧れ
あったのかもしれません。

そうなると、源造が恵を初めて守ってくれた存在なので、
恵の中では源造がずっと王子様だったのかも…?

1巻で源造が恵に対してみんなの前で告白する場面があり、
恵がもし自分が男だったら同じように告白していたかもしれないような
表現がされていましたが、ここでも女の子でありながら
自分から告白するのが「男らしい」
とも言えます。

なので、最後も恵から源造に告白したのでしょう。

また、小悪魔は魔法の解き方など教えていないのにも関わらず、
デ◯ズニー映画のように「キスをすれば魔法は解ける」と
思い込んでいるあたりも乙女
であると言えます。

そして、源造達と出会う前、
恵は女のまま生きることをある程度受け入れていて、
どうしても男に戻りたいと強く意識し始めたのは、
源造たちに出会ってから
だということを忘れてはいけません。

源造とのキスで魔法が解ける際、
小悪魔が恵に「願いは叶ったか?(※)」と聞きます。

※外伝では少しセリフが違います

恵は「叶ったよ。」と笑顔で言い、
それを見た小悪魔は「確かに。」と言います。

天使な小生意気 20巻 恵の願いが叶った時
天使な小生意気 20巻 恵の願いが叶った時

この時の恵の表情から、
ネットでは色んな推察がありますが、
前述の【女の中の女】に包括される2つの願いが
どちらも叶ったから魔法が解けた
のだと私は思います。

小悪魔は嘘をつかない

小悪魔はその人が本当に叶えたい願いを叶える。
嘘はつかない、とも言っています。

読み返して見ると気づくのですが、小悪魔は恵の魔法に対して、
「元に戻る」とは言いつつも「男に戻る」とは明言していないのです。

そして、1巻で魔本「天の恵」から出てきた小悪魔が恵に対して

オヤ、女の中の女になりたいんじゃなかったですか。

とも言っています。

この事からも【恵の心の奥底にあった願い】とは、
女の中の女」であると推察出来るのです。

ここで誤解して欲しくないのは、
「女の中の女=キス」という単純なものではなく、
大切なものを守るのに男も女も無い、
そして男の中の男も女の中の女も
諦めない勇気」があれば性別は関係無い
という事を
作者は言いたかったのではないでしょうか。

物事を諦めるのは簡単ですし、
例え自分が間違っていなくとも周りから笑われたり
引かれたりすることもあるでしょう。

源造の元カノの回想シーンでも
いつの間にか仲の良かった男友達と距離を置かれはじめ、
女性として生きる事を受け入れざるを得なかった話を
していました。

だから「諦めない」為には努力の他に
絶対に途中で投げ出さない、自分の信念を貫くという
「勇気」が必要なのです。

藤木や安田も強くて守る必要が無い恵を
「何があっても守る」と最初は軽いノリ(※)で決めたにせよ、
周りから揶揄されたり、逆に恵に助けられたり
情けない思いをしながらも、結局は2人とも「諦めなかった」からこそ
岳山編を切り抜け、また最後に恵が源造を抱えて助け出す際にも
その「勇気」が恵を後押ししてくれたのです。

※源造が昔恵を助けた時のように、恵が「女」だから
(男として)助けるのは当然と思ったのかもしれません

なぜ、キスの相手は源造だったのか

恵が(本気で)キスをしたいと思った相手は後にも先にも
源造ただ一人
でした。

重要なのは【恵の願いを叶えるには源造の存在は不可欠
だったということです。

恵に魔法をかけた後、恵は魔本を川へ投げ入れますが、
その後、小悪魔は源造の元へと拾われる為
川から飛んだのか、どうなのか分かりませんがとにかく
源造に拾われます。

2巻で美木が著名な超能力者に魔本の行方を聞いた時、
探し物は学校にある」と告げられています。

魔本ではなく、「探し物」と表現していて、
魔本を指すのであれば「学校」では無く、
「生徒の家」を透視していないとおかしい
のです。

つまり、ここでも恵の探し物(魔法を解くカギ)は
魔本ではなく、「源造(※)」
ということを表しています。

※実は恵たちが学校の図書館で魔本を探している時、
何も知らない源造が、恵の探しものは自分だと宣言するのですが、
これも当時は読み過ごしてしまいましたが、
伏線だったのかもしれません。

そもそもが、魔法の書の正式名称は「天使の恵」で
主人公の名前が「天使恵」その子に想いを寄せる
もう一人の主人公の名前が「蘇我源造」。

天使の恵の「源」を「造」と繋げられることから、
この点は、天使な小生意気が少女漫画のカテゴリに属することもある
理由かもしれません。

ちなみに、源造の苗字である「蘇我」ですが、
「蘇」は蘇るの他に「覚める、求める」
「我」は「ひとりよがり。自分勝手の考え。自分本位の考え。わがまま。」など
源造を形容するのにピッタリの苗字とも言えます。

まとめると、
天使恵の源(心の奥底?)を自分本位に造り出して、
恵(の心の奥にある願い)を目覚めさせる、という意味でしょうか…

源造と恵は似ている?

源造と恵は似ている、
こう聞くとどう思うでしょうか。

もちろん、外見のことではありません。

性格も似ていないのですが、
1つだけそっくりな所があったのです。

9巻の美木の婚約式会場で
恵と小林が美木を連れ戻すのを諦めた時、
源造が言った言葉を思い出してみましょう。

天使な小生意気 9巻の名場面&伏線
天使な小生意気 9巻の名場面&伏線
天使な小生意気 9巻の名場面&伏線2
天使な小生意気 9巻の名場面&伏線2

守る物ができた。
守りたい。強くなりたい。

男になりたい。
コイツの笑顔を見ていたい。

俺は絶対クズじゃない。

美木はこの時、
源造の恵に対する気持ちだと言っていましたが、
実際には恵(守りたい存在は美木)にも当てはまり
恵は自信が無かったのに対して、源造は自分を恥じていない

だからこそ恵は、
その後源造に感動したと言ったのではないでしょうか。

魔法をかけられる前の恵は、
同年代で自分の中身を理解してくれ
好きになってくれる人なんて美木以外いない、
美木がいることで自分の存在を肯定できていました。

自分をさらけ出せず、つまらなかった中学時代。
しかし、高校になってめぐ団のメンバー
(※男というところが重要)と友達になれた

「弱いから守りたい」のではなく、「守りたいから守る」

そんな美木に対する恵の守りたいという気持ち
源造の恵に対する気持ちと同じだと気づき、
いつしか恵にとっても、その対象は美木と源造に変わり
だからこそ、最後に命をかけボロボロになりながらも
源造を守ったのではないでしょうか。

その後も、恵の誕生日にオルリアン王国の王子にデートを申し込まれた際など、
恵が王子に男の中の男を教える際も、
なんだか源造をイメージにしたような行動をするのが
男の中の男であるかのように(恵本人はもちろん無意識)説明したりもしています。

源造が小悪魔に願った願いは叶ったのか?

実は作中(3巻参照)で、源造も小悪魔にお願いしています。

その内容は「恵が自分にホレるようになること」でしたが、
魔法をかけてもらった後、恵に聞いても変化が無く、
逆に恵に嫌われる魔法だと勘違いした源造は
小悪魔に魔法の撤回をお願いします。

寿命を10年分差し出すことになりましたが、
賢い読者の方はここまで読んだらお気づきの通り、
小悪魔は無理な願いは聞きません

また、心からの願いでないと叶えません

聞いたとしても、その難易度によって
報酬(寿命)を法外に請求
します。

周りから見たら、無謀とも思える
恵が源造にホレることなど考えられないような願いを
小悪魔はあっさりと引き受けている
のです。

安田の「恵に気づかれ無いよう一緒のベッドで寝る」
という願いは無理だからと引き受けられないのに、です。

つまり、その時点で恵が源造にホレることは
全てを知っている小悪魔にとっては何ら難しいことではなく

魔法をかけた後に恵に変化が無かった事からも、
3巻の時点でうすうす恵も源造に惹かれ始めていっていることが
読み取れる
のです。

源造自身も自分が敵わなかった大人達に対して
一切ひるまずに進んでいく恵に性別を超えて憧れたことでしょう。

(本気かどうかはわかりませんが)
作中で源造が昔自分は正義のヒーローに憧れてた
と言ってたこと(※第5巻参照)を信じるならば、
この時の恵は女の子でありながら
源造にとってヒーローに見えたのかもしれません。

※第5巻では恵(が正しいと思って行動すること)を助けるのが
生きがいとまで言っています

そのヒーローがやれそうになっている、
・助けたい
・傷つくのを見たく無い

色々思いはあったにせよ、最後は恵をガラスの雨に飛び出すも、
(恵に心配させないよう、痛みを顔に出さず)
自分が傷つき大事になってしまい、
女の子に憧れてしまった自分が恥ずかしいと感じたのか

テメーが女だから助けたんだ。
これが男ってもんなんだよ!

テメーは女なんだよ、わかったかよ!(※)

不器用なので源造なりに恵を励まそうとしたのか、
はたまた強がりを見せたかった(もしかしたら恵に今回みたいな危ない事は今後して欲しくないと思った?)のか、
なんにせよ結局恵を泣かせてしまい、
それ以上声をかけることが出来ず、
ただうつむく恵を見つめながら救急車に乗り、
恵は源造に「ごめんね… ありがとう。」と謝ります

天使な小生意気 20巻 名場面7
天使な小生意気 20巻 名場面7
天使な小生意気 20巻 名場面8
天使な小生意気 20巻 名場面8

※おそらくこの発言のことを10巻で
あの時は、ヒドイ事言ってごめん。と謝ったのだと思います。

この源造のセリフも実は1巻で恵が街中でナンパされた男達から
源造に助けてもらった後の美木のセリフに関係しています。

あの時だって、恵が女の子だから助けてくれたのよ。

と意味深な恵の表情と共に描かれています。

この事をずっと後悔していた源造は、それから作中で説明がある通りグレたのですが、
厳密には「(初恋の相手である恵を上手く守ってやれず、
フォローすら出来ずに謝らせてしまったことを情けなくて)グレた」のです。

源造は最終回で恵と美木が源造との出会いを思い出す前に、
昔自分が助けた女の子が恵であると思い出していて
(恵と美木は記憶が封印されていた為、気づかなかった)、

源造が恵にキスされる前に

「めぐに謝らせてごめんよ。」
またヤっちゃったな…..」

と言ったセリフの中の、「またヤっちゃった」は
「昔、恵に謝らせてしまった」を指していて、
思えば作中でも源造は恵が自分の為に謝ることを嫌っていました

また、源造はただ女の子だからという理由で恵を助けたのではなく
恵のことが無意識で好きになっていたからこそ、身を呈してまで守りたかったのです。

恵も自分の正義を貫くと、周りの誰かが傷ついてしまうと
この時感じたのか、自分のせいで誰かが傷つくのを極端に嫌う性格になります。

そして、源造は再び恵と出会い、
恵を助けることが源造の心の奥底にある願い(生きがい)でもある為、
源造は一切の躊躇なく、常に恵(ホレた女)を守り続ける
作中でも度々誓います。

天使な小生意気
天使な小生意気

という事を理解して1巻から読み返してみると、
より一層、隠されていた伏線達に気付けると思いますよ。

「【ネタバレ注意!】最終回で恵の魔法が解けた本当の理由」への10件のフィードバック

  1. はじめまして。天使な小生意気が好きすぎて検索をかけまくっていた結果、こちらのサイト様にたどり着いた者です。

    サイト運営者様の考察が素晴らしすぎてもう言葉が出ません…。新たな気づきと感動をありがとうございます。
    考察だけでなく、実写化するなら誰か?に関してはドンピシャすぎてもう言葉が出ません(2度目)。

    もし今後もサイトの更新をされるのであれば全力で応援いたしております。
    そうでなくてもこちらに度々お伺いして浸らせていただきます…。

    乱文失礼いたしました。
    ありがとうございました。

  2. コメントありがとうございます!

    今日から俺はがオンエアするくらいまでには
    全巻の名場面&伏線も仕上げて行きたいと思います。

    また、たまに思い出したように
    記事も追加していたりするので、たまに見ていってください!

  3. 初めして!
    天使な小生意気を最近になって改めてきちんと読み始めたんですが、こちらで考察を読んで、最終回がよりしっくりしました。
    天使な小生意気は、オチだけ知っていてもよくわからない話ですが、伏線をきちんと回収してみると、本当にすごく素敵な作品だな!って思いました。
    西森先生の作品の中で、唯一のキスシーンっていうのも素敵ですね。
    キスシーンって、作品によって重要さが違うと思うのですが、源造と恵のキスシーンは作品にとって欠かせない重要なキスシーンだと思いました。

    もう一度読み返してみます!
    素晴らしい考察をありがとうございます!

  4. 素晴らしい考察です!
    たった今20貫読み終えてネットで色々な天使な小生意気サイトを見ていてここにたどり着きました。
    すべてが納得できました!
    本当にありがとうございました!

  5. この20年、それこそ沢山の色々なラブストーリーを見ましたが
    源造くらい面白くてギャップがあって男気と熱い情熱のあるカッコいい主役と
    恵くらい人として美しく気高く誰でも好きになってしまいそうな愛嬌のあるヒロインは私の中では未だにいませんね

    作中のどの登場人物もそれぞれ個性的でとても魅力なのですが、やっぱりこの主役2人が誰よりも一番輝いて魅力的に見えるというのが素晴らしいです

    物語の長さとしては丁度良いし蛇足もなくまとまってて綺麗ですがもっともっとこの2人の物語を見ていたかった

    絵柄がやや淡白なせいかいまいち認知度が低い気がするのですが
    もっともっと多くの人に知られるべき10年に一つの名作だと思います
    作画に人気ある人当ててリバイバルしたら今でも大ヒットしそうなポテンシャルあると思ってます

    1. 私も友達に勧めたのですが、やはり最初の方のタッチや表紙で敬遠(少女漫画っぽい?)されるのかも知れませんね。最初から「お茶にごす。」くらいのタッチであればもう少し手に取ってもらえたのかも知れませんね。あとは、中古でも全巻揃えるのが困難な状況なのもあるかも??

  6. 最終回でめぐが本当は男じゃなかったのがつらくて可哀想で悲しくて二度と天こなを読み返したくないと思っていたのですが、こちらの考察を見て色々な事がストンと胸に落ちました。
    また天こなを読み返す勇気が出てきました。
    有難うございます!

    1. 少しでもお役に立てなのならサイトを作った甲斐があります!私も最初に作った内容から読み返す毎に加筆を繰り返し、気付けばこんな長文に…w

      ぜひ実写化して、今の時代だからこそ若い人達にも読んで欲しいものです。

  7. 最終回恵が源造にキスするのは以外だった、将来やはり源造と結婚するのかなそれとも見合いで結婚するのか興味あるけど僕としては見合い結婚して欲しいね。本当にこんな美少女いたら男達は掘っとかないだろうね。大体美少女は金持ちと決まっているね。

  8. こややし「意地になってませんか?」
    みき「つまらない意地です」
    この返事を聞いた小林が、背負ってきた源造たちの想いと美木の覚悟を天秤にかけて引き下がることを決めたところが1番好き。西森センセイのワードセンスと間の使い方の上手さが全開に出てた。

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